易占いを深く読み解く鍵は、八卦が持つ「象(イメージ)」を知ることです。自然・季節・身体・感情など、八卦は多くの象徴を重ね合わせて世界を映し出します。「象(しょう)」を理解することで卦の世界が立体的に広がり、易占いがぐっと読みやすくなるでしょう。
八卦の象とは?——易を読み解く“鍵”となる概念
易占いの根幹には、「象(しょう)」という思想があります。
象とは、自然現象・人の身体・季節・心の動きなど、世界に存在するあらゆる“象り(かたどり)”のことです。古代の人々は、宇宙に流れる秩序やリズムは人間にも及ぶと考え、その法則性を八つの基本イメージとして抽出しました。
それが「八卦」です。
八卦は、乾・兌・離・震・巽・坎・艮・坤の八つで構成され、それぞれが自然・時間・身体・社会性などに対応しています。
易占いで卦辞を読む際、この象を理解しているかどうかで解釈の深さは大きく変わります。象を知らずに卦を読むのは、地図を持たずに旅をするようなものです。逆に象が腑に落ちていると、卦辞の言葉が明確な情景として浮かび、状況の本質を直感的に掴めるようになります。
八卦が象徴する自然現象
八卦の象は本来「自然」に由来します。それぞれの卦がどの自然像を表すのかを理解すると、卦辞の背景にある“世界の風景”が見えてきます。
- 乾(けん)…天・創造・強さ・父性
高く広がる天の象。行動力・開始・上昇の気を示します。 - 坤(こん)…地・受容・母性・育む力
大地の象。受け入れる姿勢、柔軟さ、安定を意味します。 - 震(しん)…雷・動き出す力・驚き
春の雷の象。物事が動き始める瞬間、勢いのある変化を表します。 - 巽(そん)…風・広がり・浸透
風が吹き抜ける象。柔らかく広がる影響力、共有や伝達を意味します。 - 坎(かん)…水・危険・深さ・思考
水や谷の象。感情・恐れ・知恵・困難を示します。 - 離(り)…火・明るさ・知性・分離
火の象。光・判断・可視化、また執着を離す性質を持ちます。 - 艮(ごん)…山・停止・固さ
山の象。止まる・守る・境界を定める役割を示します。 - 兌(だ)…沢・喜び・交流
水のたまる沢の象。楽しさ、人との交わり、柔軟な調和を表します。
この自然像が、易の解釈における“基盤のイメージ”になります。
八卦が示す人体・性格・季節などの象
八卦は自然だけでなく、人の身体や性質、季節にも結びつけられています。これは「天と人は呼応する」という思想によるものです。
- 乾:頭・上半身・リーダー性・初夏
- 坤:腹部・下半身・穏やかさ・晩秋
- 坤:腹部・下半身・穏やかさ・晩秋
- 震:足・胆力・衝動・春の始まり
- 巽:大腿・広がる思考・柔軟さ・初夏
- 坎:耳・腎・揺れ動く感情・冬
- 離:目・心臓・明晰さ・盛夏
- 艮:手・止まる力・慎重さ・晩冬
- 兌:口・肺・喜び・秋
この対応が分かると、卦辞に登場する「目」「腹」「足」などの表現が、そのまま象の比喩であることに気づけるようになります。
例えば、離為火の卦で“目”が重視されるのは、離の象が「火=明るさ=目」を意味するためです。同様に、震の卦で“動く・踏み出す”イメージが出るのは、震=足=動き出しの象によるものです。
八卦の象 一覧(保存版)
| 卦 | 名称 | 自然の象 | 性格・心理 | 身体 | 季節 | 方位 |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 乾(☰) | けん | 天・空・光 | 創造・剛健・リーダー性 | 頭・上半身 | 初夏 | 北西 |
| 坤(☷) | こん | 大地・母・豊かさ | 受容・柔らかさ・安定 | 腹部・下半身 | 晩秋 | 南西 |
| 震(☳) | しん | 雷・動き・発端 | 勇気・衝動・驚き | 足 | 春の始まり | 東 |
| 巽(☴) | そん | 風・広がり・浸透 | 柔軟・慎み・伝達 | 大腿 | 初夏 | 南東 |
| 坎(☵) | かん | 水・谷・危険 | 不安・知恵・深化 | 耳・腎 | 冬 | 北 |
| 離(☲) | り | 火・光・明晰 | 判断力・直観・執着 | 目・心臓 | 盛夏 | 南 |
| 艮(☶) | ごん | 山・止まる力 | 我慢・境界・慎重 | 手・指 | 晩冬 | 東北 |
| 兌(☱) | だ | 沢・湿り・喜び | 交流・調和・楽しさ | 口・肺 | 秋 | 西 |
卦辞を“象”で読み解くコツ
易占いを深く読むためには、卦辞の一つ一つを象に置き換えて解釈すると良いでしょう。
①卦の構成卦(上下の八卦)を重ねて情景を描く
たとえば「風火家人」なら、
- 上卦・巽=風
- 下卦・離=火
→「風が火を煽る」「火の明るさが家を照らす」
この情景から“家庭における秩序や調和、礼節が重要”というテーマが浮かびます。
②卦辞の比喩は、象を借りたメッセージと捉える
易はしばしば、自然や身体を比喩に用います。例えば艮為山なら、「止まる」「境界」「我慢」という象が強く出ます。卦辞に“少し止まると吉”とあれば、それは山の象そのものです。
③象が分かると、占断は迷わなくなる
象を理解していれば、「この卦はどんな状況を象徴しているのか」「今はどう動くべきか」が直感的につかめます。象は占いの“辞書”であり、同時に“地図”でもあります。象を知ることで、卦辞は単なる抽象的な文章ではなく、具体的な情景として立ち上がります。
まとめ:象が分かれば、易はもっとシンプルになる
八卦の象を覚えることは、易において最重要ともいえるステップです。
自然・身体・性質・季節という多層的な象を理解することで、卦辞の言葉は曖昧な抽象語ではなく、明確な意味を持つメッセージになり、を知るほど卦が示すアドバイスは迷わず読み解けるようになります。
易占いをより深く、直感的に読みたい方は、まず八卦の象を確実に押さえることが近道でしょう。
